2009年2月19日木曜日

嘘の紡ぎ手。

今、僕はエルサレムにやって来ました。
小説家として、嘘の紡ぎ手として。

から、
始まるエルサレム賞の授賞式での記念講演での、
下記は、その全文を忠実に訳そうという試みをしている方のブログだそうです。
村上春樹さんのスピーチ、から抜粋です。宜しければ是非↓クリック。
http://d.hatena.ne.jp/nakamu1973/20090217/1234789406
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嘘をつくのは小説家だけではありません。
政治家も——失礼、大統領閣下——外交官もつきます。
でも、小説家は他の人たちとは少し違っています。
僕たちは嘘をついたことで追及を受けたりしません。
賞賛されるのです。しかも、その嘘が大きくて立派であるほど、
賞賛も大きくなります。

私たちの嘘と彼らの嘘との違いは、
私たちの嘘は真実を明るみに運び出すためのものだ、ということです。
真実をそっくりそのままの形で把握するのは難しいことです。
だから僕たちはそれをフィクションの世界に変換するのです。
でもまず手始めに、
自分たち自身の中のどこに真実が潜んでいるかを明らかにしなければなりません。
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村上春樹さんの作品は、
僕にとって、僕が住んでいた場所(西宮)とも、ちょうどリアルタイムで、
ほぼどの作品も読みました。
「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」も、
二十歳の時に読んだ覚えがあります。

今、僕たちが作っている舞台上の芝居[ゾウをのみこんだウワバミの絵]も、
モチーフがあるにせよ、嘘ですよね。
(もちろん、星の王子様もフィクションです。)
でも、
芝居づくりも小説と同じように、
自分の体・心・習慣・身の回りの地域社会について考え、
教養を深めていくことができます。
また、他者と語りあうことが必要不可欠な作業。
社会生活する上で大切なのは、
「他者を知り、他者とコミュニケーションをとること」・
「自分の住んでいる社会について理解すること」。
芝居を通じ、漠然と抱いていた問題を具体的に考え、
自分自身を見つめ直す機会にもなると思っています。
そして、
それを問う行為、語り合う場所として劇場があるのだと、思ってます。

もっと、そんな劇場が増えればいいのになぁと。